文学ガールじゃないけれど

本読んで感想書いていきます

ハウスワイフ2.0

エミリー・マッチャー著「ハウスワイフ2.0」(文藝春秋


 著者はハーバード大学を出たけれど、就職氷河期のためノースカロライナ大学の疫学研究室に就職。今は自身もハウスワイフ2.0、という女性(美人!)。最初2.0って何やねんと思ったけれど、どうやら「新しい」専業主婦という意味らしい。
 内容としては、今アメリカで一流大学を出た優秀な女性が、次々と専業主婦になっている。ハードな仕事を辞め、お菓子から調味料から雑貨までなんでも手作りして、自分のライフスタイルをブログで発信していく彼女たちは新時代の主婦(ハウスワイフ2.0)だ・・・、というような話。

 私の実感では、「専業主婦になりたい」願望を持つ女の子って、そんなに珍しい存在ではないんだけど・・・。むしろ皆専業主婦になりたいけど、そんなに稼いで来てくれる旦那さん、なかなかいないよねぇ~・・・仕方ない働こう、っていう雰囲気なんだけど。と、ここまできて自分は特に一流大学に通っていたわけではないことに気付く。層が違う、層が・・・。
 ここで話題になっているのは「やりがいのある仕事に就ける」はずの「一流大学の」女性が、専業主婦になりたがっている、っていうことなんだよね。

 私のような二流大学出の者にしてみるとハウスワイフ2.0は、共感しつつも、自分とは違うエリート層のお話に思える。
 まず、2.0だか1.0だか知らないけどハウスワイフ以前に、相手を見つけて結婚しなきゃ。
 それから、仕事についても、やりがいとか仕事を通じての自己実現とか、そんなこと最初から考えていない。仕事は、社会の中での自分の身分を安定させて、お金をもらうためのもの。職場での出世とか、社会への貢献とかよりも、数多いる無責任社員にどう仕事を押し付けられることなく、メンタルになることなく日々を乗り切るかが一番の関心事。
 社会人2年目になってこんな世知辛いことを書いている私でも、大学生の頃はもう少し青かった。社会の問題を解決したいとか、困ってる人を助けたいとか思っていたんだけど、今から思うとどれもこれも考えがいまひとつ足りなかったんだよね。

 いろいろ自分とは違うと思いながらも「ハウスワイフ2.0」を楽しく読めたのは、ただ「専業主婦になりたい人が増えている」という報告だけにとどまらず、じゃあ私はどういう生き方がしたいのかを問いかけてくる本だったからだと思う。昔みたいに女は専業主婦になるべきだ、とか、逆に女も外でバリバリ仕事して役職者を目指すべきだ、とか、そういう圧力も模範ももう無い時代に、なにを目指して生きていこうかと、社会に出てからも迷う点では、ハーバード大卒のステキ女子も、二流大卒の私も一緒だと思う。(多分)
 あぁ、どうしよっかなぁ。
 とりあえず、おもしろい本を探して読む時間と、それをもとにいろいろ考える時間はこれからも確保できたらいいけど・・・。